4枚小説とは、原稿用紙4枚(1600字)で一話完結している「超短編小説」のことです。

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新着の4枚小説

コンテスト参加作品(21)
風の中で
夜中、エマが起きると、ベッドに彼の姿がなかった。眠っているクロエを起こさないように家中を探すが、どこにもいない。納屋へ行ってみた。すると、鎌を使ってハラキリをしようとするスギモトがい……
コンテスト参加作品(20)
ラッキーサーカス
こちさ
私はドキドキした。でも、箱から無事な健ちゃんが飛び出してきたので、ホッと胸を撫で下ろす。でも……あんな狭い箱の中で、健ちゃんはどうしていたんだろうと、不思議な思いにから……
コンテスト参加作品(19)
エノラ・ゲイの祈り
まり
それを見た一人の男性は顔色を変えて突進し、ケーキを粉々にして叫びます。「みんな、このキノコ雲の下で、なにが起きたか、想像できないのか。焼け爛れた人々の死体が折り重なり地上を埋め尽く……
コンテスト参加作品(18)
桜の空
ここ
「まだ、手を挙げていないのは誰だ?」。先生が問いかける。桜と由紀だけが、まだだった。桜が思い切って手を挙げようとしたとき、振り向いてきた由紀と目が合った。二人は大の……
コンテスト参加作品(17)
ひと目惚れ
「それで、ハルカ。そのハンサム君に見つめられてどうしたのよ」。ヨーコが話を戻す。どうって、彼がにっこり笑うものだから、私も微笑み返したわ。そしたら、彼はスッと手を差し伸べてく……
コンテスト参加作品(16)
玉蘭の茶
「媽媽(ママ)、ほら、たくさん葉っぱを摘んだよ」。玉蘭(ギョクラン)は、十歳になる息子の冬冬(トントン)が自分で収穫した新芽を誇らしげに見せるのを、目を細めて眺めた。もう……
コンテスト参加作品(15)
砂時計
SOLA
何としてでも元気になって、明日、母について行く。ボクが母を助けるんだ。翌日、血に染まった記憶のある水玉のワンピースを、やはり母は着ている。ボクは風邪が治ったと駄々をこ……
コンテスト参加作品(14)
謀略
りょう
宗易は秀吉に告げた。「明智殿に、謀反の兆しが見えまする」「左様か。ありうることであるな」。秀吉は顔色を変えることなく応じた。その当時、宗易たち堺の会合衆は、度重なる信長の……
コンテスト参加作品(13)
眠れぬ夜の胸騒ぎ
撫子
いや、こんなつまらないことを考える必要はない。一平は枕の上で首を振る。邪念を払って、また羊を数えることに専念する。七八匹、七九匹……やがて柵をとびこえる羊の速度はゆるや……
コンテスト参加作品(12)
五体満足・顔不満足
美絵
「五体満足だけで、良しとせねば……。しかし、女の子だからなぁ」「可哀想に……。亜紀さんに、少しでも似ていたら良かったのにねぇ」。(可哀想にとは、どういう意味かしら?)……
コンテスト参加作品(11)
逃げたのは
てる
伏見は愛敬のある、お多福のような女将の顔をじろりと眺めた。他に客もなく、女将一人が切り盛りしている居酒屋だから、初めて入った店ではあるが、身の上話をしても構わないだろうと……
コンテスト参加作品(10)
マリンの尾ひれ
MARIKO
マリンは念願の人魚になれたのです。「レインボーとお揃いの虹色に煌めく鱗だわ。なんて美しい尾ひれでしょう!」。大好きな魚たちの言葉も解るようになり、マリンは活き活きとして海で暮ら……
コンテスト参加作品(9)
博子さんの愛した株式
不動
その後も、順調に報告書が届きました。浩司君は、博子さんから教えられた株を買い、半年足らずで倍の利益を挙げたようです。そして余計なことに、彼はこの話をオープンにしたので、アッという間に……
コンテスト参加作品(8)
紅い盃
伊知悟
流木に腰かけ、いつもヨシ子がしていたように、作治はいま拾ったばかりの切子文様の盃に耳をあててみる。「さぁ、聞かせておくれ。お前はどんな運命をたどってきたんだい」……」
コンテスト参加作品(7)
よんどころなき儀
清兵衛が直亮を訪ねて来た。「よんどころなき儀とはなんのことでございますか」「大義名分はござらぬ」「直亮様のご依頼とあらば、なにもお聞きせずに用立てるのがご恩に報いる道でござ……」
コンテスト参加作品(6)
僕が死神を見た日
モリタケ
男の言ったことの意味を考えていた僕は、不思議なことだがすでにそれを信じていた。普段から霊感などがあるわけでもない。理由は分からないが、男の超然とした佇まいや、はるか遠くか……
コンテスト参加作品(5)
人形職人の報酬
ヒョウ
哲男は消沈した。写真付きのカタログには日付を入れておらず、映像も存在しない。法律や権利に無知すぎる自分を恨んだ。頭を抱えていると、応接間へ潤が面倒くさそうに姿を現した。手に何か持ってい……
コンテスト参加作品(4)
広子とプー吉
私とプー吉の遺伝子が一緒だなんて、これもなにかの縁である。殺してしまうなんて、とてもできない。広子はプー吉が大好きなので、しばらく様子をみることにした。しかし、その後も、毛はどんどん…
コンテスト参加作品(3)
リタの事件
奏子
新聞各紙に≪超高級真珠ドレス盗難≫の記事が躍った。「盗まれたって? あれだけの真珠だもんな」「6000個ですよ、本物の真珠が」「それで、リタは今どこにいるんだ?」「ショックで、ホテルの部屋から…」
コンテスト参加作品(2)
異聞・一寸法師
トシオ
「侍になれるのなら、おら、なんでもします」。法師は喜んで頷きました。鬼の大将は、都に住む人間の姫さまを、お嫁さんにしたいと思っています。そこで法師に、姫さまの遊び相手に雇ってもら……
コンテスト参加作品(1)
何てったってアイドル
ヒロ
結婚して二十年も過ぎると、その都度、市子は「何処へ?」とも聞かなくなった。見くびっていたのか、信じ切っているのか、無関心なのか、そして、それがいけなかったのか。(何だろう、浮気でもしているの……
案山子
客が重そうなダンボール箱を抱えて乗ったのを確かめ、すぐ発車。「尼崎まで……」「かしこまりました」。そこで初めて客の顔をミラーで見て「ギヨッ!」とした。そこには、ニターと笑った大きな顔が……
初稿作品
鳶の沽券
虹子
夏も近づいたある日の午後。俺は子どもたちに餌を与えた後、「谷杵屋」の向かいの電柱の上で獲物を待っていた。すると、派手な帽子をかぶった呑気そうな中年女の二人連れが歩いてきたのが……
初稿作品
匂いは怖い
かりん
「もっと強く抱いて―っ」。真知子は、背中にまわった手の感触と整髪料の臭いに吐き気がした。しかし、ダンス教師は再び大声で、パートナーの真鍋を叱咤激励した。「もっとピッタリくっついて―」……
ララ
「失礼しやす」。突然、聞きなれない高い声がしたので、三人の男はびっくりした。声の方向に目をやると、出っ歯のずる賢そうな男が座っていた。男は次のように言った。「びっくりさせちまって、申し訳あり……
亮子
熱にうなされていた。扁桃腺が腫れて唾も飲み込めない。豆電球の光をただじっと見つめていた。なにやら黒い影。じっと目を凝らすとハシゴのようなものが電球から出て人の形をしたものがぶら下っている……
初稿作品
五日目のイボ
「私、もう帰らなければ。暗くなると海が荒れるし」「僕、送っていくよ」「いいの、大丈夫よ。来ないで」。娘はきっぱりと言い切った。 「じゃあ、明日かならず来てくれ。待っているから……
初稿作品
ユー君
かっちゃん
あれから五十年あまり、男はずっと夜になるとやって来るんだ。もう、慣れて怖くない。今では友達のように話している。ユー君って名前だ。いつまでも若いままだ。ミッちゃん、幽霊って怖いだろう……
初稿作品
アレ
ミシェル
恵介が「アレ」を握ると視界は一変した。五感が静止する。と同時に体内の拍動が激しさを増し、憑かれたように走り始めるのだった。そして奇声や唸り声を発し、それが外部にまで漏れることも日常的と……
SOLA
「生き物の世話をする人間が天国へ行けるのかなぁ?」エミルはあとを追いかけた。その途中で『おんなのこ』は別の人間とすれ違い、何かを手渡された。 「『おじいさん』が……『あめだま』……
ポンサッコ
何かが欠けている。でも、どうすれば……。授賞式が終わっても、宏美は自問し続けた。それから一か月後、『やけ食い』は中央美術館の企画展「ヲトメから肉食女子まで――画家の描く少女像の変遷」に……
かの子
「お、お手玉だけど」「ふ~ん」「それよりあんた誰?」「オイラは河童の河太郎さ」。そう言うと河太郎は、お手玉をひょいひょいと4個も5個も回し始めたので、可奈子はビックリした。「オイラの……
コウ
(彼の話は本当だったのか!)。アグトは、かって獲物を追って旅をする流れ者の狩人から聞いた話を思い出した。はるか遠くの地には「燃える黒い石」があり、それはとても便利なものだが地中深くに……
案山子
そうでしょう。私は禁煙の必要なんか、本当はないと思っているんです。ちょっと調べたところによると、喫煙者は年々減少しているのに、肺癌になる人は逆に、それも急激に増加しているというじゃ……
紅琳
「黄色の月の出る晩にこの花を摘んで、私の墓の横で待っていてください。私はあなたに会いに来ますから。あなた、待っていてくれますか?」 もうどう言っても、何が何でも決めている様子なので……
撫子
糸を引いたような切れ長の眼でじっと広子を見つめてくる及川に、今夜も久しぶりに彼の誘惑に負けてしまう自分を想像した。及川が、煙草を口に銜える。すぐに、スッとライターの火が差し出されて……
え~ま
僕は、近頃の祥子にイライラする。祥子は、ソプラノ歌手のセイラと僕の仲を疑っている。セイラが、我が家に来たあとは、決まってムカデが出たと大騒ぎし、殺虫剤のお出ましや。先週、セイラと……
FUZUKI
私は、さりげなく有馬の肩に手をかけ、腰に手をあて、さらに、意味ありげに視線を送る……。ふふふ、案の定、自分に自信のない祥子は、やすやすと引っかかった。みどりの館を訪れるたびに……
まあさ
祥子は廊下の反対側の座敷で着替えをしながら、青羅の声に聴き惚れていた。その声質は青羅の肌を想わせる。祥子と同じ三十歳代半ばでありながら、すべすべとしていて、まるでアップルマンゴーの……
琴乃
愛凛は、臨月のお腹を抱えながら、まだ額に汗して働いていた。痩せて顔色も良くないことに、鈴麗はびっくりする。「今が、大切な時期なの。もうすぐ咲き始めるから」。愛凛が指差す丘の上に、立派な木が……
原作 ひろわ / 執筆 みきを
「カンタロー、そろそろお別れぞ」。おたねさんは、重い病で、床に伏していた。「おたねばあさん、死んだらいけん。おらが助けちゃるで、待っててけろ」。カンタローは、おかぁから聞いた話を思い出し……
汐人
「脅されとるんじゃ。ばあちゃん、わしがコンクリート詰めにされてもよかか。ほいで、二百万でええけん、銀行のATМで振り込んでくれんかの」「たわけたこつ言いよるなぁ。ぐるりと見回しても、縁者には……
昭子
考えてみると父と私とは、この中で一番古い付き合いということになる。突然ではあったが、私はこの孫たちの知らない父を紹介したいと思った。娘時代、我が家は両親と六人の子供たちで賑やかそのもの……
昭子
そんな、ある時。父がいきなり私に言った。「今度、お酒を持って来いよ」。父の好物を考えてメニューにすると、どうしても酒の肴のような物が多くなっていたので、父は食事を重ねるうちに……
道子
私たち姉妹が宿舎に到着すると、隊員の方々が歓声を上げて出迎えて下さった。が、もう明日七日は出撃の命令が出ている。会えたのに、時間はいくらも残っていない。翌朝、まだ明けやらぬ早暁。私たちは……
コンテスト参加作品(26)
きえてゆく
ろっぱ
としこは夜になると、いろんな声色を真似して遊ぶ。真似しの中で、一番好きやったんが「はしご~やくらかっけっ」と、八瀬大原からのおばちゃんの声ぶり。あの頃、何にでも行きかう人々に音があった……
コンテスト参加作品(25)
読み違え
「陶子。僕が誰だか、わかるかい」。秀明のその声に、受話器向こうから、ゴクリ、と陶子が唾を飲み込む音が聞こえる。長い沈黙が流れてから、ようやく陶子が声を発した。「まさか、中川さん……
コンテスト参加作品(24)
海に降る雪
かの子
初枝は今も夕方になると、決まって近くの船着場まで出かけていく。学徒出陣から帰らない長男の芳雄を、舞鶴の港で待っているのだ。鉛色の空から降る雪が海に溶けていく。「お義母さん、…
コンテスト参加作品(23)
輪舞
ここ
手紙を読み終えた麻子の頭の中は、本当だろうか? 組し易い相手と思われての偽りではなかろうか? 嘘と本当がぐるぐると輪舞する。編集長に見せると「こりゃ、新手だな。彼女は、やっぱり …
コンテスト参加作品(22)
チケット
ゆうな
帰宅した月子に修が声をかけてきた。見ると炬燵の上に封筒が置いてある。「いいって言ったのに」。月子が、その封筒を開けると、春にある『シュート独演会』のチケットが入っていた。席も…
コンテスト参加作品(21)
青い薔薇
圭介
彼女の返信を心待ちにしている日々である。三樹夫は、戯れがこんなに甘美な悩みに発展するとは思いもよらなかった。瞬く間に半年が過ぎて六月、毎週欠かさずきていたメールが全く…
コンテスト参加作品(20)
勇者の報酬
ヒョウ
よし、行こうか—―。アキラは右ももを軽く叩き、踵を返して標的を追った。鼓動が高鳴り、緊張がピークに達する。一声一声、命が削がれる感覚。ふぅ。肩を下げて姿勢を正し、相手が鞄を…
コンテスト参加作品(19)
ある探偵の物語
モリタケ
気がつくと、俺は手足を縛られ、口もふさがれて床に転がされていた。隣には、おそらく家主の田所だろう、初老の男性が同じような状態で寝転がっている。どうやらここは寝室のようで…
コンテスト参加作品(18)
アルゴスへの祈り
鋭くて太い角を持っている巨体のアルゴスは闘牛界の王者であった。彼の強さは国中に知れ渡り、国王の耳にも届いている。この国の闘牛は、勝った牛の飼い主に賞金が与えられる仕組みに…
コンテスト参加作品(17)
枝垂れ櫻
こちさ
私がこの地に根を張ったのが、いつだったのか。住職は「樹齢三百三十年の名木ですぞ」と言いふらして悦に入っているが、さぁ、自分の年齢なんて数えたことがないからわからない…
コンテスト参加作品(16)
肝試し
それでも卓也は、こうして、夜も約束していた神社に現れた。肝試しを兼ねて、これから崖の上に立つお地蔵さんを見に行くつもりだ。このお地蔵さんは海で亡くなった子供を…
コンテスト参加作品(15)
トリスタンとイゾルデ
まあさ
燃えあがる禁断の愛の世界に、瑠維は陶酔する。リサはぬるんだ紅茶のマグを手にし、媚薬をあおるように呑み干した。フルーティーで甘酸っぱい香りと濃密な管弦楽の響きのなか…
コンテスト参加作品(14)
匂い
結婚して二十五年。夫は浮気をしたことがない、と朋子は信じきっていた。まさか、援助交際? かすかな疑念が浮かんだ。夫は、その日、夜十時を過ぎて帰って来た。「遅かったのね。先に…
コンテスト参加作品(13)
入学式の日
まり
でも直人は笑っていなかった。緊張の面持ちだったのは、自分の運命を凝視していたからか……。その時のことが次々に思い返され、敦子は信号が赤になったことさえ、気付かなかった…
コンテスト参加作品(12)
本の家出
あんな
この本が書置きやら電話をかけてきたの? 恵理が不思議そうに本に顔を近づけると、突然、頭痛と眩暈がしてきた。思わず、床に倒れ込む。すると、薄れていく意識の中で、悲しそうな声…
コンテスト参加作品(11)
スコール
MARIKO
タカットが操舵席を離れ、何かわからない現地の言葉を叫びながら、物凄い勢いでこちらへ向かってきた。驚いた由美は、チェアから転げ落ちる。そこへ、タカットは覆いかぶさってきたのだ…
コンテスト参加作品(10)
芝居見物
ふう
つぐみは揺らいだ。――この歳で、うちの人を放ったらかして、よその男と芝居見物やなんて……山瀬さんも、強引なお人やけど、私も悪い女や。でも、一緒に出かけるのが、バレたら…
コンテスト参加作品(9)
目にしたものは
てる
(見てはいけないものを、僕は見てしまった)。健太は、今、目撃してきたことを正直に吐き出そうかと思ったが、小学校四年の子供でも母親を悲しませてはいけないという気持ちが働いた…
コンテスト参加作品(8)
老いの夏
かっちゃん
兄や姉は句帳をゴミ箱に捨てようとした。「待てっ、おかんが書いたもの、なんとか残さなあかんのと違うか……」。忠雄は自宅に持ち帰った句帳の整理に取り掛かった。二千句は読むだけでも…
コンテスト参加作品(7)
味の虜(とりこ)
果伊江
男は愛情より料理。胃袋を掴めば浮気はしない……と思った。ところが結婚して三年が経ち、哲也の様子がおかしいことに気がついた。頻繁に夕食を食べて帰ってくるし、休みの日も…
コンテスト参加作品(6)
レトロな映画祭
美以
久しぶりに会う彼の顔を、わたしはわかるかしら? 長い時間に浸食されて、人は信じられないほど、その相を変える。が、彼はすぐに見つかった。もぎり嬢の近くに立ち、辺りを…
コンテスト参加作品(5)
初盆
トシオ
健太の胸に、いやな想像が現実味を帯びて押し寄せてきた。由利子と信一は、新しい仏壇の前に座っている。健太は、自分の気配を消して、二人に気付かれないよう仏壇の後ろに隠れた…
コンテスト参加作品(4)
漕ぎ来たる女
コウ
お久は太吉の胸に顔を埋めた。迸る涙が太吉の半纏を濡らす。太吉は宥めるように、赤糸模様の入った絣の上から、お久の背中をさすった。「そんなら、俺があのお嬢さんと夫婦になって…
コンテスト参加作品(3)
汚れなき新世界
撫子
この現実世界には、遊子の知っている景色がどこにも無い。まるで、異次元の世界にタイムスリップしたかのようだ。「だったら、脱出するしかない」。遊子は思いっきり走るスピードを上げた…
コンテスト参加作品(2)
したたかな女
ヒロ
なぜ突然に連絡を絶ったのか、若菜が問うても司は聞く耳を持たない。若菜と森との関係が、大きく歪曲されて司の耳に入れられたのは明らかだ。この瞬間、あの麻美が、もう親友ではなく…
コンテスト参加作品(1)
つぶれた小指
伊知悟
「仕方ないですなぁ……」 諦めきれない鮫島は、瑠依の左の小指の第一関節にステッキをあて、力いっぱい押し付けて潰した。そして、不敵な笑みを浮かべる。「これで、お前が何処にいても…
麻子
もしかして、カタギではない……。得もいわれぬ恐怖が、足元からジリリと這い上がってきた。(とにかく早く降りよう。この…
琴乃
“初刀(はつがたな)の儀”のお相手に選ばれた者は、皇子の剣を受けて生命を落とす運命にある。それと引き換えに、多大な…
まあさ
彼がこんなにも熱く喋る人になっていたとは、意外に思う。次の週も同じ本屋で立ち話をする。その次の週、彼はいなかった…
風子
お千絵は大きくなれば、わしがもらってやる。武士の妻はいつ、なにがおこるか分からないから、多少の剣も使えるように…
わっこ
今、ふたりは週末しか会えないが、その間、二晩の寝床を共にする熱々ぶりは、洋子が傍で見ていても気恥ずかしいばかり…
あんな
困ったことに仕事中も、「影、高く買います」が私の頭を離れない。こんなに気になるのなら電話してみるか。ただの悪戯なら、名乗らずに切れば良いのだから。電話はすぐ…
果伊江
「あのう、そのアジサイ、一本いただけないかしら?」老女が庸介に言った。祭りのぼんぼりのようなピンク色のアジサイは、仄かに周りを明るくしている。「アジサイって…
ヒョウ
つばさは自分の飛行技術に絶対の自信を持っていた。仲間からも「操縦桿を握って生まれてきた女」などと揶揄されるほどだ。東京湾の上空に差しかかった頃、男が…
ふう
しつこいなあ、早よ、あっちへ行って、と心がわあわあ言っているのに、ありがたくて仕方がない顔つきをこしらえてしまった。結構な婆さんのくせに、体を前かがみに…
果伊江
宙人(そらと)の一目ぼれだった。人ごみの中で彼女を見た瞬間、運命を感じた。キャミソールの胸元は牛脂のように白く、レースのスカートから覗く太ももは…
ノリコ
彼は、夫の出張を知ると必ずやって来た。いつも、私たちは手をつないで二階に上がる。昨夜も彩香が先に寝室に入り、彼をベッドに招き入れようとした。が、なにをためらったのか、なかなかベッドに入ってこよう…
ひろわ
男は、その声で僕たちに気付くと、何人かを飛ばして、急ぎ、こちらへやってきた。頭を強く打ったのか、顔の右半分がひどく潰れている。男は僕の前に立ち、身じろぎもせず、ただじっと見詰めてくる。僕はひたすら俯いて、この場を…
みきを
「そうだ、一度あれを試してみよう」。先日スーパーの帰り道、小さな薬局で敏子はそれを見つけ、試しに買っていたのだった。箱を開けると、緑色の液体が入った小瓶が出てきた。《思い出し薬》――効能 どうしても思い出せなくて困った時に…
トシオ
彼は怒鳴り、巨体をゆさぶって、隣の部屋へ戻っていった。それからは、彼の機嫌が悪いときに必ず現われ、大きな体を僕にぶつけて「早く出て行け」と脅しをエスカレートさせていった。最初のうち、僕は黙っていじめられて…
yossi
最愛の息子を殺された親の気持ちを思い知らせてやる。溢れんばかりの憎悪に、サヴァティエは心を震わせていた。しかし……。太陽が地平線にかかりつつある。旗を振り上げ…